うーはここで色々かくつもり

しがない学生。二次元が理想過ぎて三次が見れない。作家になる為日々精進。

舞台で変革するガンダム、その未来【舞台 機動戦士ガンダム00 破壊による再生 Re:Build(ライブビューイング)・感想】

 西暦2307年。地球の化石燃料は枯渇し、人類は新たなるエネルギー資源を太陽光発電に委ねた。半世紀近い計画の末、全長約50,000kmにも及ぶ3本の軌道エレベーターを中心とした、太陽光発電システムが完成する。半永久的なエネルギーを産み出すその巨大構造物建造の為、世界は大きく3つの国家群に集約された。米国を中心とした世界経済連合、通称「ユニオン」。中国、ロシア、インドを中心とした「人類革新連盟」。そして、新ヨーロッパ共同体「AEU」。軌道エレベーターはその巨大さから防衛が困難であり、構造上の観点から見ても酷く脆い建造物である。そんな危うい状況の中でも、各国家群は己の威信と繁栄の為、大いなるゼロサムゲームを続けていた。そう、24世紀になっても、人類は未だ一つになり切れずにいたのだ。

 そんな世界に対して、楔を打ち込む者たちが現れる。モビルスーツガンダムを有する私設武装組織「ソレスタルビーイング」。彼らは世界から紛争を失くす為、民族・国家・宗教を超越した作戦行動を展開していく。ソレスタルビーイングが世界に変革を誘発する。

 10年前、2007年に放送し、その後外伝やセカンドシーズン、劇場版と展開され、現代の延長線上にあるガンダムを描いた「機動戦士ガンダム00」。ガンダムが、ガンダムマイスターたちが約10年ぶりに舞台で帰ってきた――。

f:id:you101611:20190225015254p:plain

 「舞台 機動戦士ガンダム00 破壊による再生 Re:Build」、そのライブビューイングを観てきました。

 ガンダムが、しかもあの00が舞台化、正直最初は何から何まで驚いた作品展開だったのですが、ガンダム00・10周年、そしてガンダム40周年に際した舞台化。

 ガンダム00の10周年に関してはアニバーサリーイベントも開催され、そこでは新規シナリオとなる劇場版後日譚、アニメの出演声優によってその朗読劇なども行われました。その時にも上演内容を聞いて急いでWebでのライブビューイングの視聴券を購入して鑑賞したのですが、その時にはまさか舞台の方も観るだなんて思ってなかった。

f:id:you101611:20181201173815p:plain

パンフも事後通販で買いました。朗読劇のシナリオ付だったので

 更に周年記念のHG・00ガンダムの応募企画や…

f:id:you101611:20181201174227p:plain

1万名にプレゼントだったはずなので割とハードル低かったのでは。

 10年分の公式イラストや設定画を掲載したアートワークスまで。

f:id:you101611:20181201173712p:plain

版権絵がどれも懐かしすぎる

f:id:you101611:20181201173726p:plain

 10年前の作品なのに公式の供給が凄まじすぎる。今の感覚で観ても全編通して絵が新しめで、10年も前の作品という実感があまり無いのだけど00。

 そしてこの2月から舞台の上演が始まったのですが、東京公演の評判が良かったのと何か新しい機体の登場があったと聞く。舞台で新しい「機体」?とも思って気になっていたら、気付けば翌週大阪公演大千穐楽のライブビューイングの席を取っていた。

 

 ということで感想書きます。

 まず初めに後悔したこと。観るの決意したの遅すぎた…。おかげで席が最前列で首は痛いしスクリーンは歪んで見えるし...。ホント、どうせガンダムは観るんだからすぐ買いに動けば良かった。次があれば、次は生で観に行く…。

 初めて2.5次元の作品を観ましたが、観ることなく自分がどこか偏見を抱いていたことを自覚した。アニメと生の人間は違うし...と。いや、実際違うのだけど、2.5次元2.5次元でこちらを圧倒する熱量や演者の汗、全身でそのキャラクターになるという気力が伝わって来て、ただただ圧巻だった。しかも楽しそう。大千穐楽だけあってノリノリだった。

 そう、皆台詞の言い方や発声の感じがアニメとそっくりだったのも驚きだった。ロックオンとか声も立ち振る舞いもほぼ本人じゃん。クールな大人でありながらテロを憎悪する熱い心も持っている、そのニールの姿がそのまま舞台にあった。あれは惚れますね。

 舞台という媒体で一層輝いていた人物でいえばコーラサワー。元々アニメでも不死身のコーラサワーとして愛されていたコメディリリーフでしたが、アニメ以上に愛されキャラ、カティにアタックしまくってて笑った。ちゃんとスペシャルで2千回で模擬戦だった。アドリブっぽいですね家族計画とか。

 モビルスーツ戦闘の表現方法凄いですね、よく思いついたなと思いました。コックピットを模した装置が舞台上に置かれるのはネットで見知っていましたが、まさかあれをグイングイン動かしてモビルスーツが動いているのを表現したり、近接戦のときはパイロットがビームサーベルやGNブレイドを振るってガンダム定番の鍔迫り合いを再現するなんて。その機体が何をやっているかを示すのにとても分かりやすいし、ガンダムに欠かせない「チャンバラ」も多分刹那の意識としてはあんな感じで圧し合ってる感覚なんだろうなという納得がある。射撃に関しても狙撃機のデュナメスは銃を模した専用のスコープがあるので、これは確かにそのまま表現に使えるんだな!という。実はガンダムって演劇向きだったのでは、とすら思えてくる。

f:id:you101611:20190225021757p:plain

配布された資料。00ファーストシーズンの設定が大まかに記載。

 ストーリーとしてはファーストシーズンを元にしたもので、前半が三国合同演習までをダイジェストに近い形で。後半はチームトリニティ登場以降。そして物語は、舞台という場に於いて更なる変革を見せる。

 アニメ以上にサーシェス大暴れの物語だった。演劇という場では特に、ああいうわかりやすいロクデナシは動かしやすいんですかね。リボンズからガンダムスローネフィーアを与えられたサーシェスが物語における大敵として立ち塞がる。

 このガンダムスローネフィーア、チームトリニティが所有するガンダム、スローネの四型機でこれがボクを観劇に走らせた原因の一つなのですが、これがなかなか気になる部分の多い。ちなみにプログラムの購入が引換券制でダメだったのでちゃんと設定画を見られていない。まず劇中の演技から実体剣、GNファング、そしてGNランチャーを装備しているっぽい? そして何よりTRANS-AMシステムの実装。「赤いガンダム」との呼称があったのでフィーアが疑似太陽炉を搭載しているのはほぼ確実(というかフィーアのトランザム自体「TRANS-AM[T(タウ)]」と呼ばれていたし)。演劇という形式上、本編から改変された部分はところどころにありましたが、ここは設定的に気になる部分。スローネフィーアがリボンズの差し金の以上、舞台版ではファーストシーズンの時点でリボンズトランザムの解析を完了したということになる。

 物語上の都合としては、アニメとは違う、トランザムを得たCBに対抗できる強敵が必要だったということで理解できるけどね。ただ、00だしその辺り何か仕込んでるんじゃ…?と思わずにはいられない。

 とはいえ、フィーア登場時にトリニティに対してサーシェスが述べた「本来死ぬはずだったお前らを――」という台詞はアニメとは違う分岐路を進んだことを暗示する、ここから舞台独自の展開で行くという明らかなメタ演出としても解釈できるので、やっぱりフィーアはそのための舞台装置というのが第一なのかも?

 (4/20追記: この件に関して最後に追記しています。)

 とりあえず、今回も事後通販でパンフ買うね…。

 本当に、良い「ガンダム00」の1作品だった。最初のDAYBREAK’S BELLの演出からもう懐かしくてヤバかった。00観返したくなった。いや割と定期的に観てるけど。今だとバンダイチャンネルは勿論テレビシリーズはNetflixやHuluでも観られるぞ。劇場版も作画ヤバいので観ろ。

 ガンダム40周年ということで多くの作品が動いています。宇宙世紀シリーズは去年上映されたガンダムNT(虹の彼方のその先へ【機動戦士ガンダムNT・感想】 - うーはここで色々かくつもり、そして来年公開の「閃光のハサウェイ」と続くUC NexT 0100 PROJECT。鉄血のオルフェンズスマホアプリ「ウルズハント」。Gのレコンギスタは劇場版。ガンダムXの続編漫画は続いたりするのだろうか?どれも期待していますが、この00も更に先に続く舞台や続編アニメがあるといいなあ。グラハムガンダム見たすぎる。

 加えて、初2.5次元鑑賞をガンダムに捧げられたこともラッキーだった。2期もやりたいという話があったのでその際には東京公演行こう。

 2.5次元いいぞ。Fateも舞台の展開しているし、色々観てみよう。

 

f:id:you101611:20190225032633p:plain

上演始まるまでパールル捕まえてました

f:id:you101611:20190225032723p:plain

EXTRAシリーズ買ってそのままだ。やらないと

 (4/20 追記)

 パンフが届きました!

f:id:you101611:20190420144755p:plain

 中身は設定や人物相関図、キャストやスタッフへのインタビューなどが記載。キャラデザの高河ゆん女史によるマイスターたちの画も掲載。

 本誌を購入した理由として「ガンダムスローネフィーア」のデザインが載っていると聞いたことがあるのですが、そこに気になる表記が。 既存のスローネ3機の予備パーツを利用し、サーシェス用にカスタマイズされた機体とあるのですが更に。

疑似太陽炉搭載機でありながらトランザムに類するシステム『トランザムタウ』を発動可能。

 トランザムに類するシステム…?ということはトランザムではないということ?

 なかなか際どい所に落としてきた…!設定に関する部分は今後更なる掘り下げがあることに期待しますね。ただ現状劇作的な観点で考えると、やはりインパクトを重視した舞台装置として新たに作り出された線が濃厚っぽい…?

 とりあえず「トランザムではない」としたら、2期があるとしても「トランザムによる優位と戦略」というCBの頼みの綱は健在かもですね。